シグナル

それは後方にいた武彦の声であった、

その声にテリーが尋ねる。


「どうした武彦!」

「暗くてロープがどこにあるか分からないんだ…」

武彦の目はテリー達と違い、

暗闇に慣れていなかった為の結果であり、

ある意味仕方なかったのかもしれない。


「悪かったな武彦!」

テリーはそう言うと、

ランプを手に武彦のもとへ行き、

手元を明るく照らす。


「ありがとうテリー」

そう言うと、

武彦はしっかりとロープを握りしめた。


「よし、しっかり握ったな?」

そう確認したテリーは再び先頭へ戻ると、

最後に持っているランプの灯りを消し、

右手でロープを探り握った。


そしてテリーは小さな声でこう囁いた。


「行くぞ、ゆっくり行くからな!」

テリーは一歩一歩ゆっくりと歩を進める、

仲間達もそれに続き、

ゆっくりと歩み始める。

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