彼女の涙の理由
〜カルボナーラ〜
癖で終わらせていいのか?

「本当に癖?なんか最近おかしいよ?」

「うるさいね!黙っといてや!」

『バタンッ!!!』

ドアを思いっきり締めすぎだ。
それにしても、そんなに感に触ることを言ってしまったのか?
とてもじゃないけど今の、文恵は。

文恵っぽくなかった。


「おーい。朝だぞー!」

起きない。
俺だって今日はバイト休みだしあれからねれなかったから寝たいんだけど。
起きてくれ。

「部屋入るぞ?いいのか?」

「だ、だめ!わかった!起きる起きるから!」

朝は部屋を見られたくないらしく入るぞと脅すと起きてくる。
18歳。大学受験に合格し、今日が初めての大学。

「さ、お母さん達に挨拶してから行きなさい。」

「はぁーい!」

仏壇に手を合わせ、ダイニングにくる。
そして、朝食を食べ終わって見送る。

「いってきまぁーす!」

皿を洗ってソファで一休み。
ん……眠くなってきた……。


「ただいま。お兄ちゃん。
お疲れ様。」

目がさめると毛布がかかっていた。
暖かな温もりに包まれながらまた寝てしまった。
目覚めると11時。
今日もバイトは休みだから大丈夫なんだけど…

文恵!!!

『ガチャッ!!!』

「文恵起きろ!!!」

『バッッ!!』

「あれ、いない。ちゃんと起きて行ったのか。」

布団をめくってもぬいぐるみが置いてあるだけで文恵はいなかった。
不安になった。
彼女がどっか行ってしまうという不安がいつまでも消えなかった。


「ただいま~」

「文恵ッ!!!!」

「えッ!わぁ!」

僕はぎゅっと彼女を抱きしめた。

「お兄ちゃん。どしたん?」

「お前がいなくなるかと思った。」

「なわけないやん。本当大丈夫?」

「大丈夫。ごめん。」

そう言って彼女を離し、キッチンまで行ってカルボナーラを作り始めた。

「今日はカルボナーラなん?嬉しい!!」

「好きだもんな、お前。」

大好物をとっさに作ってしまいたくなったのは、離れて欲しくない欲求からだろう。
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