君への想いを、言ノ葉に乗せて。

最初のホームルームといえば、ひとつ難題がある。
それはもちろん、…自己紹介。

私は自己紹介というものが嫌いだ。
というか苦手。不得意。大嫌い。
むしろ憎んでいるといっても過言ではない。

何故かって、自分が紹介できるほどの人間ではないから。
これといった趣味も無ければ特技も無い。
頭もそこまで良くないし、運動神経も悪い。
だから話す内容も思い浮かばない。
その上、人前で話すなんて。

どうしよう、何を話せばいいのかな…。


そんなことを考えていると、出席番号順で始まった自己紹介は、あっという間に自分の前の人の番になってしまった。
まだ話す内容も思い浮かんでいないのに。


「それじゃあ次、深月!」
「あっ、はい。えっと……深月結菜です。よろしくお願いします。」

反射的に返事をして、他の人と同じように立ち上がって挨拶をする。
結局何も思い浮かばなくて、とてもそっけない自己紹介になってしまった。
いたたまれなくて恥ずかしくてみんなの反応がこわくて、誰の顔も見れないまま、軽く頭を下げて席につく。

と、少し周りから、え?という声が聞こえてきた。

やっぱり短すぎたかな、と思いつつ、結局誰にも突っ込まれず次の人に進んでほっとする。
けど、みんなからの第一印象は暗い人になったんだろうな…。


周りに聞こえないように、そっと溜め息を吐く。

明るく笑える子になりたい。
友達と楽しく話したい。
その願いは叶うんだろうか。
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