好きになった執事は殺し屋でした。
◆第4話◆嘘つき 〜帝 side〜
シャッ
朝、部屋のカーテンを開ける。
そこから俺の一日は始まる。
眩しい日差しが、部屋の中を照らした。
必要最低限のもの以外、なにも置いていないシンプルな部屋。
それは、もしなにかあった場合、なるべく痕跡を残さずに消えるためだ。
「・・・・・・あいつ、昨日眠れたかな」
ここ何日間か、陽菜の身にはさまざまなことが起きている。
十年仕えた執事が実は殺し屋だったり。
自分の命を狙われたり。
挙句の果てには、殺し屋だって言ってんのに俺と変な約束をしたり。
「ま、あいつのことだからぐっすり寝てんだろ」
顔を洗い服を着替え、髪をセットし部屋を出た。
まずは朝食を作らなければ。
そして陽菜の好きなカモミールを淹れる。
それが“ここ”での俺の仕事だ。