すれ違う未来
「最近、アイツに会った?」
「アイツって三都? うん、会ったから せいちゃんが結婚するって聞いたんだけど・・・。
もしかして、三都と会ってないの? 最近、仕事仕事って感じだもんね。 仕事は大事だけど、自分にとって一番大事だと思う人に逃げられても知らないよ?」
・・・胸に刺さる言葉だな。
もう一番大事な人に逃げられてしまった。
「指輪、渡してないんでしょ? 買ってから結構経つよね?」
「・・・渡せない」
「何 言ってんの! 付き合って1年半は、確かに結婚するにはちょっと早いかな?って思うけど、三都みたいなイイ女は違う男だって狙ってんだからね! しっかりしなよっ!」
俺の知らない所でアイツは他の男に声をかけられているという事は同僚から聞いたことがある。
でもアイツはいつも涼しい顔で聞き流して相手にしていなかった、とも。
だから、初めて会った時 俺とは連絡先の交換をしたから驚いたなんて言っていたな。
付き合いを始めて少し経った頃、
「三都は一途に相手を想うタイプだから、重いって思うなら深入りする前に別れてあげて?」
と同僚に釘を刺された事があった。
俺は、
「重いなんて思わないよ」
と笑うと、同僚は安心した様に
「良かった。 なんか私が紹介したみたいになったから、今後 二人が揉めたりしたら嫌だなって思っちゃってさ」
あの時の台詞、アイツにも言ったのかな?
だからアイツは俺と別れたこと同僚に言わないのか?
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