すれ違う未来
多分他の女性が来ている。
私に合鍵を渡しているのに他の女性を家に上げるなんて無神経すぎる。
そんな風に彼に疑惑をもったけれど、はっきりとした証拠は見つからない。
アクセサリー等の小さな忘れ物がある訳でもないし、私の置いている化粧品を使った形跡もない。
だから、私は、慣れない彼が頑張って家事をしているのだ。と言い聞かせて付き合い続けてきた。

だけど、見つけてしまった。
誰でも知っているアクセサリーブランドの紙袋がクローゼットの奥に押し込められていたのを。
もしかして私へ?なんて思ったけれど。
自信はなかった。
だから、私は賭けに出たのだ。
私が別れを切り出したら彼はなんと言うのか、と。
プレゼントが私への物ならば彼はきっと私を引き止めてくれるはずだ、と。
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