すれ違う未来
結果は惨敗。

賭けに出る前から私は少しずつ私物を持って帰っていた。
私が持ち込んだ私服や生活雑貨はほぼ私の部屋へと持ち帰り終わっている。
その行動に気づいた時点で彼が何か気にかけてくれるのでは?という淡い期待が無かった訳じゃない。
だけど、彼は何も気づいていない様だった。
私の思い入れのある品だって彼にはたいした物ではないのだと思い知らされた。

今日は彼が帰る前にお気に入りのベッドカバーを剥がして紙袋に詰めた。
そして、新しく買ってきた無地のベッドカバーへと取り替え、トイレのカバーも無地の物へと取り替えた。
私が初めてこの部屋に来た時、そういったシンプルな部屋だった事を思い出したから。
お風呂掃除も念入りにして、髪の毛一本無い様に。
私のシャンプーやコンディショナー、歯ブラシも持ち帰るために紙袋へ入れた。

私は賭けに負けることを予想していた。
だから、私の形跡をきちんと消すことができたはず。
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