すれ違う未来
アパートの前に着くと、私の部屋の前に人影?
そっと階段を上った。
「え? どうして?」
私は驚いてしまった。
だって、彼が私の部屋の前に立っているんだから。
「あ・・・久しぶり」
彼は柔らかく笑った。
「・・・どうしたの?」
「あの・・・その・・・今更なんだけど・・・話し、したくて・・・・」
彼は歯切れの悪い言葉を吐いた。
何の話をしたいのだろう?
彼も私と同じように別れた事を後悔してくれているんだろうか?
・・・ううん、違う。 私は別れたことを後悔しているのでは無い。
別れたいと思った理由を彼に話さなかった事を後悔しているんだ。
私以外の女性が居ると判ったら私は迷わず【別れ】を選ぶ。
その気持ちは今でも変わらない。
「別れたくない」「貴方が好き」「私を選んで」なんて縋るつもりは無い。
・・・ただ、渚の言葉を聞くと、彼に他の女性がいたのかどうかハッキリ訊かなかった事を後悔してしまっていた。
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