すれ違う未来
すぐそばのベッドにコイツを押し倒す。
ベッドカバーは俺の部屋にあったリーフ柄ではなく、クローバー柄。
似たようなデザインだから同じ雑貨屋のものだろう。

服をたくし上げると、以前と変わらず清楚な白い下着が目に入る。
変わっていない事に俺は満足し、またコイツを抱くことができる喜びに歓喜する。

コイツは、俺と初めて身体を重ねた時、酷く緊張していた。
この行為が久しぶりなのか、少し痛みを感じている様だったのを覚えている。
「・・・ごめんね・・・私・・・」
と泣かれた時は、俺に抱かれた事を後悔しているのかと不安になった。
だけど、コイツは、
「貴方を満足させられない・・・」
と泣いたのだ。
何を言っているのか理解できなかった。
「満足してるよ・・・俺を受け入れてくれただけで」
俺が笑うと、コイツは驚いた様な表情をした後、
「ありがとう。  私・・・貴方が本当に好き」
とキスをしてくれた。

それから何度も身体を重ねて、どんどんお互いの身体のイイ所を知っていった。
俺を満足させられないと泣いた事があるなんて、信じられないくらい、コイツは俺を満足させてくれた。
素直な反応、俺に対する奉仕の気持ち。
全てが俺を惑わせる。
清楚な下着を好むのは変わらないのに、身体はどんどん淫らになる。
俺色に染まっている・・・コイツは俺の征服欲を満たしてくれた。

そんなコイツの態度がおかしくなったのは、プロポーズをしようと、婚約指輪を買ったすぐ後の事だ。
別れを切り出される。と思うようになった時の俺の絶望感は誰にも分からないだろう。
でも、コイツにとっての幸せは俺の隣では無いのだと思うと、受け入れるしかないと考えた。
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