コイスルエバポ
未来の始まり
実験が開始し、それぞれ作業を行う。
私は試料の計量を行うことになったが、教授の一番近くにいたために指名され、トップバッターになってしまった。
後ろから他のメンバーの視線を感じながら電子天秤の前に座る。
電子天秤の上には、箱のような透明のカバーがついている。左右の側面をあけ、そこに手を入れて計量しなくてはならない。
不器用だけど、絶対こぼさないようにしなきゃという思いが自分をますます緊張させる。
ガタガタと震える手で、なんとかこぼさずに全てを計量した。
次に、有機溶媒と試料をビーカーにいれる作業にうつる。これは、簡単ですぐに終わった。
次の行程を他のメンバーが行っているため、少し待たなくてはならない。
私は何となく、後ろにある機械を眺めはじめた。さっき清水さんが紹介していた、エバポレーターだ。
くるくる回るフラスコに入った液体をみつめる。それは、さっきよりも濃縮され、鮮やかな色になっていた。
すると、後ろから誰かがやって来て呟いた。
「…これが…エバポレーターか…」
さっき、ここに向かう道で私の前を歩いていった男子だ。
彼は私のとなりでエバポレーターを見る。
そんな彼の目は面白いくらいにキラキラと輝いていて、つい彼の方に目がいってしまった。
すると彼は急に私の方を見て言う。
「俺、大学行ったらこういう機械つかって研究したい!」
何故に突然宣言した…と思いつつ、私も答える。
『私も研究とかしてみたいけど…不器用だし、自信ないな…』
「え?そうなの、さっき試料はかってるの見て、凄い器用だなって思ったけど!」
私は、えぇ…と思いながらも、そう話す彼の真っ直ぐな瞳と無邪気な笑顔が心に焼き付いた。
私は試料の計量を行うことになったが、教授の一番近くにいたために指名され、トップバッターになってしまった。
後ろから他のメンバーの視線を感じながら電子天秤の前に座る。
電子天秤の上には、箱のような透明のカバーがついている。左右の側面をあけ、そこに手を入れて計量しなくてはならない。
不器用だけど、絶対こぼさないようにしなきゃという思いが自分をますます緊張させる。
ガタガタと震える手で、なんとかこぼさずに全てを計量した。
次に、有機溶媒と試料をビーカーにいれる作業にうつる。これは、簡単ですぐに終わった。
次の行程を他のメンバーが行っているため、少し待たなくてはならない。
私は何となく、後ろにある機械を眺めはじめた。さっき清水さんが紹介していた、エバポレーターだ。
くるくる回るフラスコに入った液体をみつめる。それは、さっきよりも濃縮され、鮮やかな色になっていた。
すると、後ろから誰かがやって来て呟いた。
「…これが…エバポレーターか…」
さっき、ここに向かう道で私の前を歩いていった男子だ。
彼は私のとなりでエバポレーターを見る。
そんな彼の目は面白いくらいにキラキラと輝いていて、つい彼の方に目がいってしまった。
すると彼は急に私の方を見て言う。
「俺、大学行ったらこういう機械つかって研究したい!」
何故に突然宣言した…と思いつつ、私も答える。
『私も研究とかしてみたいけど…不器用だし、自信ないな…』
「え?そうなの、さっき試料はかってるの見て、凄い器用だなって思ったけど!」
私は、えぇ…と思いながらも、そう話す彼の真っ直ぐな瞳と無邪気な笑顔が心に焼き付いた。