コイスルエバポ
三人揃ってプリントを提出し、3週間が過ぎた。
ついに、どの研究に決まったかの案内が届いたのだ。

放課後、マリコ、ミキと集まり封を開ける。
プロ野球のドラフト会議のような妙な緊張感がある。

「私薬学ー」

「あたしも、薬学だー」

二人は薬学に決定…ということは私もそうだろう、と思い少しほっとして案内をみた。

『あたしも…ええええぇー』

「なした!」

「どーかした?」


薬学 という文字は見当たらない。
代わりに 有機 の二文字が見える。

『わわ、私だけ有機なんだけど…』

「「えぇーーっ!」」

私はがっくりとうつむいた。

「まじかー、でも私それも興味あるから感想教えてほしい!」

マリコが楽しげに言う。
しかし、友達二人とバラバラになったのはとても心細い。

人見知りで、高校の授業の実験では人手の足りない作業や、余った作業を行っていた自分にとって、一人で本格的な実験をするのは怖い。


その上、何だかんだで誠也との絡みを少し期待していた自分に気がつく。

『もーーほんと最近ついてないんだよなぁーー』

私は心から叫び、大きなため息をついた。
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