こころのやみへ ようこそ

+ teihen +

やることは目の前に沢山ある。
どこから手をつけていいのか全くわからない。
それでも”やらない”よりはマシ。
わたしは布草履を完成させた。

その合間に、在宅でやっている文章書きの仕事もいくつかこなした。
これには締め切りがあるから、迷うことはない。
出された注文に応えるべく、情報を集めて、自分の言葉に直し
原稿として仕上げて提出する。
わたしがやっている文章書きを本職にしようなんて思わない。
情報を集めて仕上げるまでの時間は、とんでもなく長くて割に合わないから。
この仕事を続けていて、何かのチャンスに繋がったならば、
本職に出来る可能性もあるかもしれない。
それでも、それはいつになるだろう。
クライアントが求めさえしなければ、小学生のお小遣いにもならない小銭を、貰い続ける。
文章が書きたいという思いだけで。
書きたいという思いだけしか、やる理由がない。

しかし、ローンも組んでいて、首の皮一枚…いやもう首もないのに、
わたしは幽霊のごとく生きているのだ。
バイトで働いては入金して貰ったものが消えていく。
自業自得。

それでも・・・
草履を完成させてホッとした。
実家に送ってホッとした。
原稿が締め切りに間に合ってホッとした。
今月も家賃を払えてホッとした。

こんなにも当たり前のことを、わたしは毎回必死になっていてその度に思う。


生きていてよかった

明日に繋ぐことができてよかった


なんでもいい。
なんでもいいから、達成しよう。
一番そばにあるはずの”やみ”が、ホッとしている時だけ遠ざかり、
”やみ”が”苦しんでいる”ような感覚になる。


なんでもいい。
なんでもいいから、達成させよう。

例え、耳が聞こえなくても
例え、話すことが出来なくても
例え、手足が不自由であっても
例え、成し遂げる過程に、困難があっても
例え、”やみ”が飲み込もうとしてきても


ここまで生きてきた強さがある。

わたしは、どんなに軽蔑されても、

ずっとずっと

生きていく。



今度は、見て見ないふりをして
手をつけなかったことを始めよう。
その先に、誰かとわたしの笑顔が
沢山あるはずだから。
わたしにはみんなの笑顔が見えるから。

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