永遠のキミに恋をする。


「ねぇ、氷室さんって、何で誰とも関わらないのかなぁ?」


「なんか、記憶喪失って病気もってるらしいよ。ちょっと、怖いよね…」


そんな声が近くから聞こえてくる。
…噂ってこわい。本当のことだけど。

私は、この病気のことを1度でも言ったことはない。家族と先生しか知らない。

どこから情報が漏れたのだろうか。

でも、別に構わない。
人と関わることはないのだから。

関係が深くなればなるほど、私も相手も傷つくことになる。
ただ、それを恐れているだけ。

どれだけ関係を深めたって、明日になればスタートに戻される。
それなら、最初から1人のほうがいい。

ーーあんな思いは、もうしたくない。させたくない。


ガラガラッ…

勢い良く教室のドアが開けられ、担任の先生らしい人が入ってきた。


「おーい、朝読書始めてないヤツがいるぞー。反省文書きたいのかぁ!」


その言葉に、他の生徒たちはガヤガヤと自分の席に戻っていく。


私は、本を読むことが好き。
人と関わることが出来なくても、本の中の人とは関わることができるから。

だからという訳ではないけれど、私は文芸部に入っている。

もちろん、ほかの理由もあった。

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