【完】Angel Heart
そりゃ、良かった。
こいつと比べられるのは心外だけど。
「実楽、古典のテキスト貸して?」
「へ?あ、いいけど…。今日古典なくない?」
「予習したいんだ。明日当たり、当たりそうなの」
「マジ?!じゃあ、あたしも一緒にやってあげる!一応テキスト貸す身だし?」
あぁ、実楽は今日もツンツンしてる。
それが、オレにだけじゃないのが苛立ちの原因でもあるけど。
それよりも、先に声を掛けたこいつより、オレの方に興味を向けてくれたことが嬉しくて、満足。
「じゃ、二人でやろっか」
「うん。あ、分かんないとこ、教えてよね!」
そんな二人の間に割って入ることの出来なかったそいつはスゴスゴと自分の席に戻っていく。