【完】Angel Heart
「ちょっとー、実楽、湊くん何気に限界なんじゃないの?」
あたし達のやり取りを近くで見ていたひなのちゃんが、さぞかし面白いものでも見たかのようなニヤニヤ顔で、そう言ってくる。
「限界、かぁ…」
「そ。限界。早くしないと蝶は同じ花には止まってられないんだよ~?」
もっともらしい例えを出して、そう言ってくるひなのちゃんの後ろにもなんか、悪魔が見える。
「むーん…」
胸が、痛い。
こんなに好きなのに、素直になれない自分が嫌い、ダイキライ。
中学の頃からずっと温めて来た想いを抱え込んできた苦しみは、混ざり合ってドロドロになって、酷く醜い。
あぁ…アイが痛いよ。
この胸の中の想いを全部打ち明けられたらどんなにか、楽なんだろう…。