[完]全力恋奏~音に乗せて~
その日の部活が終わったあと、校門から出ると新村くんがなぜかいた
「新村くん?」
「あ、おつかれ!」
「どうしたの?」
ジャージにエナメルバッグだから、きっと部活終わりなんだと思う
「一緒に帰ろうかと思って……迷惑だった?」
「そんなことないよっ!」
「送る」
断るのも失礼な気がして、言葉に甘えた
「……そういえばね?」
私は思い切って、優梨華ちゃんのことを相談してみることにした
「飯倉くんのことを好きな子がいて…」
「…うん」
飯倉くんを好きな子は沢山いるから、珍しい事じゃあないかもしれない。
けれど…
「その子が、同じ部活の子で…私……」
なんとも言えないこの感情に、言葉を詰まらせていると
「大丈夫。通じてるよ!…難しいな…紅と早くくっつけば……」
そこまで言って、ハッとしたように口を結んだ
「新村くん?」
「いや、何でもないよ?…あんまり悩みすぎないんだよ?」
「ありがとう!」
新村くんにそう言ってもらえたからか、心が少し軽くなった