[完]全力恋奏~音に乗せて~
「しずくちゃん、さっきはごめんなさい。」
「気にしないで?座って座って」
少し段差になっているところに、二人で腰を下ろした
「しずくちゃんはさ、河田さんが翔亮好きなの、知ってたんだよね?」
「……うん。ごめんなさい。やっぱり勝手に言ったらいけないことだから…」
「ううん。仕方ないよ。それに、言っちゃうような人だったら…私しずくちゃんに話してなかった」
空を見ると、快晴だけど……一つだけ雲があった
「さっき、何があったの?」
そう聞くと、申し訳なさそうな顔で俯いた
「……嫌いにならない?」
「大丈夫!嫌いになんてなるわけないよ」
そう言うと、安心したように微笑んで、話し始めた
まるであの時の私みたいだった…
「サッカー部が練習してて…河田さんが見てたんだ。翔亮のこと。何となく分かってたよ、好きなんだってこと」
「花火大会のことは誰から?」
「私友達と行ったんだけど…たまたま見ちゃって。二人がいるところ」
なるほど…ということは、私を探しに新村くんが行ってる時かな?
「そのことも思い出したら……すごく…ムカついちゃって……っ……っく……」
嫉妬……それは時に凶器にもなると聞いたことがあった
けれど、実際どういうものなのかわからない
けれど……
「わかる気がする」
「……え?」
「もしかしたら、優梨華ちゃんの立場に私がいたかもしれない。そうしたら、好きな人が他の誰かと…なんて辛くて苦しくてしょうがないもの」
「……しずくちゃんは、柊羽と付き合ってるの?」
うん、と頷くと、ニコッと微笑んだ
優梨華ちゃんの笑顔は、眉毛と目尻が下がってとても可愛い