[完]全力恋奏~音に乗せて~
失うこと
「しずくにはさっき言ったけど、俺は退学する」
「……は?」
もちろん、新村くんは意味がわかんないと言うように顔をしかめた
私も、まだわからない
「…柊羽、俺はもう長くないみたいだ。しずくを守れるのは、おまえだ」
……え?
優生先輩が、長く……ない?
「せんぱ……」
私が名前を呼ぼうとすると、顔を悲しそうに歪ませた
「骨髄をやられて、白血病になった。」
なん、で……優生先輩が?
「治療法はあるけど……」
「それならっ!治療すればっ……「がん……なんだ」
言葉を失う新村くんと私
「免疫が無い時に、入り込んだのががんだった……」
どうして、私じゃあないんだろう?
どうして、優生先輩なんだろう?
「いつまでだ?」
「新村くんっ!?」
「…もって、2ヶ月」
「兄貴には?」
「言ってない。」
まるで、もう受け止めたかのように……いや、受け止めたんだ、新村くんは。
けれど、私は納得出来なければ、受け止めることもできない
「がんの治療はっ……「見つかった時には、末期だった」
……っどうしてですか?神様
こんなにも優しく生きている人を…
どうして……