[完]全力恋奏~音に乗せて~
最近飯倉くんの元気がなかった
……かわいい彼女さんができたのに…何かあったのかな?
「しずく……」
「紅ちゃん?」
教室で話している紅ちゃんの目には、涙が溜まっているようだった
「どうしよっ、……」
「……っ紅ちゃんっ……」
きっと飯倉くんのことだろうと分かった
「翔亮っ……優梨華と付き合ったって…何でっ?」
そこへ、新村くんがやって来た。最近は飯倉くんは来ない
「紅。あいつ絶対おかしい」
泣いている紅ちゃんに新村くんの言っていること……全く意味がわからない
「新村くん?」
「私も、……そう思うよ…」
「紅ちゃん?」
紅ちゃんと新村くんが立ち上がって、必然的に私も連れられて、昼休みの今中庭へ向かった
中庭には、飯倉くんが優梨華ちゃんといた
紅ちゃんは苦しそうだった…辛いよね
「翔亮」
新村くんが呼ぶと、こっちを向いた
優梨華ちゃんの視線は、もちろん紅ちゃん。
私は、飯倉くんのその瞳に言葉を失った
あの、優しくて輝いていた瞳は……今はない
それに動揺していたのは、私だけじゃなかったみたいで、新村くんも紅ちゃんも。
「柊羽…どした」
「優梨華ちゃん、ちょっと飯倉くんのこといいかな?」
「分かった……翔亮また!」
それに、おう、と返事をしていた