[完]全力恋奏~音に乗せて~
ベンチに四人で座った
確か、私が質問攻めにされた時以来だ…
「翔亮。おまえどうした?」
「何がだ」
少しだるそうに答える飯倉くん……前はこんなじゃなかったのに
「好きでもないやつと付き合うようなやつじゃないだろ?!」
「……」
「翔亮…どうしたの?私たちでよかったら……」
「そういうのがうさいんだよっ!」
私はビックリして肩が上がる
それに気がついた飯倉くんは、目が泳いでいた
「……もう、お前らといられねぇよ」
「何でっ…「知ってんだろ!?俺が誰を好きかっ!」
飯倉くんの好きな人……?
聞いたことがなかった気がする
紅ちゃんと新村くんは、バツの悪そうな顔をして俯いてしまった
ただ1人、飯倉くんは私を見つめていた
「飯倉くん…?」
とても切なそうな顔をしていた
胸騒ぎがした
・
・
・
「園村さん…好きだよっ…すごくっ……大好きだ」
そっか…こういう事だったんだ
新村くんが気まずそうな顔をするのも
紅ちゃんが悲しそうな顔をするのも
全て…私だけが知らなかった……