[完]全力恋奏~音に乗せて~
そして、気がついたらもう少しで文化祭の季節
9月に入って一週間が経っていた
優生先輩には、あれから一度も会っていない。もちろん、新村くんも。
あと一ヶ月もない、優生先輩の命
……本当にこのままでいいの?
……あんなにお世話になった
……私を助けようとして、結果こうなった
……優生先輩が望んでいるとしても、本当に…
……本当に会わないまま居なくなっていいの?
私、絶対後悔するっ!
「文化祭実行委員!今日会議室な〜!」
授業がすべて終わって放課後、先生の陽気な声が響いた
……実行委員…私だ
教室を見渡して、新村くんを探した
会いに行くと、伝えるために。
すると、黒板の前で皆と笑顔ではしゃいでいる新村くんを見つけた
「新村くん!」
私が話しかけると、周りの人は冷やかす
それはとても恥ずかしいけれど、今はそんなこと言っている場合じゃあない
「どうした?」
「…私…先輩に会いに行こうと思うっ」
周りには聞こえないくらいの声でそう言うと、新村くんはビックリしていた
……当たり前…か