[完]全力恋奏~音に乗せて~
「優生っ!」
新村くんは耐えられなくなったのか、優生先輩の視界に入ろうと、目の前にたった
私も続いてそっち側へ行った
……けれど、目に写ったのは、あの輝く瞳をした先輩でもなく
キラキラした笑顔の先輩でもなく
優しい顔、瞳をしていた先輩でもない……
“認識をしない”瞳をしていた
……見えて…ないの?
瞬きはする。けれど、瞳は外を向いたままで、反応がない
「優生先輩っ!!」
何だか…何か怖くて、先輩の方を軽く揺すった
すると、眉がぴくっと動いた
……反応した!
「先輩っ!先輩分かりますか?私です…しずくですっ!」
相変わらず、瞳は動かないけれど、確かに眉は動いた
そして、…涙を流していた……
「先輩……?なんで泣いてるんですか?」
「優生…俺だぞ?柊羽だ」
優生先輩の涙は止まるどころか、増している気がする
「新村くん……」
「ああ。」
私も新村くんも、看護師さんに真実を聞くことを決意した
話そうとしなかった先輩……
その先輩が、今何を抱えているのか…