[完]全力恋奏~音に乗せて~
「遅くなったな、ごめん」
「ううん、大丈夫」
ついつい素っ気ない返事になってしまう
「……」「……」
「帰ろう」
そう私は言って、新村くんの先を歩いた
きっとおかしいと思ってるよね
「しずく」
呼ばれても返事もできない、立ち止まることさえできない
「しずく!」
腕を掴まれて、やっと止まった
新村くんが私の顔を見て驚いていた……けど、その新村くんの顔は、ぼやけていた
「……しずく、ごめん」
「……」
そこでやっと、私が泣いていたことに気がついた
「話そうか」
頷くと、近くのベンチに二人で座った