[完]全力恋奏~音に乗せて~
想いと涙
「……新村くんごめんね」
「…海夏、だよな」
分かってるよ
「…ごめんなさい」
2人が恋人同士だったことくらい
「海夏は…元カノ……なんだ」
けどね?思ったよりも、新村くんの口から聞くと、苦しいみたい
「小学校の時のミニバスが同じで、知り合った」
かわいくて、儚い感じだったからバスケをしていたことに驚いた
「うん」
「けど、海夏は体を壊してバスケができなくなった……だから、中学では俺がバスケ部であいつがマネージャーをしてた」
「…うん」
「俺が中2で海夏が中1の夏に、海夏から告白された」
どんなに苦しくても、辛くても逃げていたらいけない
「俺もずっと好きで、つき合った」
「そうなんだ」
「……俺が中3の冬、受験が忙しくて構ってやれなかった……けど海夏は何も言わずに我慢したんだ…けどさ、そんな時に海夏に、海夏の同級生が告った」
だんだん新村くんの顔が歪んでいく
「……海夏ならって信じてた…だけど、海夏は寂しさに耐えられなかった。…2月下旬…俺から別れた」
とても一途そうだったからすごく、びっくりした
それと同時に……新村くんは、きっと今でも忘れられないんだと思った
「……新村くん…まだ」
まだ、好きなんでしょう?
きっと言ってしまったら、私たちが終わってしまうと
それが怖くて……
「…まだ、好きなんでしょう?海夏さんのこと」
けれど、もう逃げたくないんだよ…信じたいから
「…しずく?」
きっと
「新村くん、ずっと苦しそうだったよ?泣きそうだったよ?」
ここで
「……俺が?」
「……うん」
「まだ、……忘れられない」
私たちの関係が終わってしまっても