[完]全力恋奏~音に乗せて~
初詣、紅ちゃんと早朝から行く予定だったから、急いで着物を着て支度をした
「さあ、行くか!」
「うん!」
朝の7時くらいでも、神社は混んでいた
「混んでるねぇ…」
「ほんとに……」
人混みをどうやって分けていくか、キョロキョロしていた
けれど…その中に、大好きな人を見つけた
見つかれないはずがないよ…だって、ずっとずっと大好きで……
「しずく……あれ……」
「紅ちゃ……「話しておいでよ、ちゃんとさ」
私は必死に首を振る
「どうして…「もう、いいんだよ」
けれど、目をそらそうとしたら、目が合ってしまった
「しずく!」
「紅ちゃん、ごめんっ」
紅ちゃんが私を呼ぶ声を背に感じながら、慣れない着物で走った
「しずくっ!」
バスケ部のスタメンに勝てるわけがない……ましてや着物で
でも、今会ったら……私はっ
_________パシッ!
「はぁ、はぁっ……しずく…逃げんなって」
「はっ、はぁ…な、して……」
「え?」
「離して…」
自分でもびっくりするくらい、低い声だった
「ちゃんと、話したいんだけど」
「私はっ!」
咄嗟に振り向いてしまった…