[完]全力恋奏~音に乗せて~
私は思わず、その場から走って教室まで行った
早いから誰もまだ登校してない
「ふっ……うぇ……っく、うぅ…っ」
いくら新村くんがああ言ってくれたって、時間が経てば他にいい人が見つかる
そんなこと当たり前だよ…モテるし
「にいむらっ、くん……っうう…」
しゃがんで泣いていた時、誰かが入ってきた
私は慌てて涙を拭って、後ろを向いた
「しずく……?」
その声は、飯倉くんだった
「何で泣いてんの…」
顔を見なくても、声、聞かれちゃったのかな……?
私は必死に首を横に振る
けれど、飯倉くんはそれだけで納得してくれるような人じゃあない
私の方へ近づいてきて、私の前に立つ
私は両手で顔を隠す
「しずく」
そう言いながら、私の手をよける……
「やっぱり泣いてんじゃん」
その声はどこか切なくて、震えていた
「ごめ…」
「柊羽が原因?」
新村くんは悪くない…悪いのは、私だ。
私が、新村くんから離れた…だから、新村くんは悪くない