[完]全力恋奏~音に乗せて~

「どうしたらいい?……っ…しず、く…」

大好きだよ…新村くん

「……っ…」

耳元で鼻をすする音、少し涙声の新村くん…

「…っ……っ」


これじゃあ離れた意味ないじゃん…

想いが溢れて、私まで涙が溢れてくる

「……っき、」

「……え?」

新村くんはビックリして私から離れた

「……にいむら、くんっ」

「しずく……?」

「すきっ……大好きだよぉ……うわぁぁっ…ふぇ、うぅ……」

「しずく…「しずく」

新村くんが何かを言いかけた時、いつもよりものすご低い声で、私を呼ぶ……

「何してんの」

飯倉くん…

「翔亮?」

飯倉くんはどこか不機嫌な様子で近寄ってきて、私と新村くんを離した

「柊羽……俺言ったよな?俺はもう諦めねぇって」

「翔、亮……」

「飯倉くん?」

「しずくは俺がもらうよ。しずくがお前を好きって知ってても…」

飯倉くんがそんなことを言うと思わなかった

いつも、私の気持ちを優先して、一体どれだけ傷ついてきたんだろう

いつも、私のことを応援してくれて……私は一体どれだけ傷つけてきたんだろう?

「飯倉くん……」

話があるの。

そう言って、私は飯倉くんに向き直った

「しず、く」

新村くんはどこか不安そうな顔をしていた

「飯倉くん、行こうちょっと」

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