[完]全力恋奏~音に乗せて~
「新村くん、ちゃんと話そう」
そう言うと、戸惑いながらも私の元へ来て、ベンチに二人で座る
「翔亮と付き合うの?」
「何でそうなるの」
「キス、してた」
すこし、意地悪をしてみたくなった…
何だか私、性格的にものすごく意地悪くなった気がする
「そうだね……じゃあ、新村くんは椎名さんと付き合ってるの?」
「は?!……何で椎名?!」
思わない返答だったのか、立ち上がって私を見る
「キスしてたでしょ?完全に」
その言葉に、はぁ、とため息をついて頭を抱えて座る
「見てた、んだな……無理矢理されたんだよ」
そんなの見てたらわかるよ……けど、ショックだったんだ、その時は
「…ごめん、意地悪した」
けど、やっぱり少し可哀想になって謝る
「しずくは?さっきの」
よほど気になるようです……当たり前か…
目の前で、さっきまで好きと言っていた子が他の人とキス(嘘)なんてしていたら
「あれはしてないよ…翔亮くんが、意地悪したの。」
「マジで!?」
「うん」
「よかったぁ……」
かなり安心したようで、顔が明るくなる
「紅ちゃんもだけど、新村くんがキスされてた日から、ずっと慰めて励ましてきてくれたの。翔亮くん」
膝を抱えて泣いてた私に、翔亮くんが手を差し伸べた
「二人がいなかったら、私今頃どうなってたか……」