[完]全力恋奏~音に乗せて~
ゴホゴホッ……
頭もボーッとするな……
今私は、下駄箱です
なぜかと言いますと……
「ゴホッゴホッ……」
「あれ?園村さん、風邪?大丈夫?」
「はいっ!大丈夫ですっ!」
「わっ!すっごい鼻声!帰って帰って!」
「だっ、大丈夫ですっ!」
「ほら、定演明後日だし、今は安静に休んで、備えて?ね?」
「……すみません……」
と、言うことがありまして……こうなってるんです
あ、飯倉くんに言いに行ったほうがいいかな……でも部活中だし……
んー……下駄箱で悩む
悩むせいか、もっと頭がズキズキしてきた
いけないいけない、近づいて風邪うつしちゃったら悪いし
手紙を……
「しずく……?」
聞きたかったその声に、心臓がはねる
けど、幻聴でも聞いちゃってるのかな……?
「なあ、しずくって」
腕を後ろから掴まれ、ビックリする
「……新村くん……?」
「無視すんなよ…ショックじゃん」
「ごめっ…ゴホッゴホッ……」
いけない!新村くんなんて、選抜合宿あるのに!
腕を離して離れようとしたのに、離そうともしてくれない