[完]全力恋奏~音に乗せて~
翌日
「今日はついに、本番です!……私たち3年生はこの定期演奏会を最後に引退だけど…今日金賞をとることが出来たら、全国行って皆とまた演奏できる!だから、皆で頑張りましょう!」
美人な部長さん
楽器はソプラノサックスで、心の通りとても美しくて迫力のある、音
そんな依都(ito)先輩のお話をみんなが、少し涙ぐみながら聞いた
私たちの出番まで、あと30分
今はそれぞれ確認したり、休憩したり、思い思いの時間を過ごしている
けれど、それでも緊張しているのはみんなから伝わってくる
「園村さん」
「…?…依都先輩っ!」
「風邪、大丈夫?しんどくない?」
「はいっ!…もう、大丈夫ですっ…!」
「そっか、ならよかった!…ソロパートとても綺麗だから、自信もって、いつもの〝しずくの音〟聴かせてね?」
優しくて透き通るような笑顔を見せて、このリハーサル室から出て行った
……やっぱり、もう終わりだから寂しいのかな……
「しーずくっ!」
「莉咲先輩??!」
「いつも、ありがとうね!みんなの個性溢れる音を一つにまとめてくれるのは、しずくの音だけだから。しずくのこと、尊敬してる」
……今日は泣かないって決めてたのに……
先輩からこんなに嬉しいことばっかり言われちゃうと、ダメだよね……
「もう〜……泣かないで〜……っ」