[完]全力恋奏~音に乗せて~


それから暫くして、私は一時退院が許された

だから、学校へ行くことになった

優生先輩とは、あの日以来会っていない

それが、お互いのためなのだと、初めて知った


「しずく……?しずくぅ!」

「べにちゃん……」

「もっ、心配したんだからっ!……どうし…「しずく……?」


突然、一番、会いたくて、会いたくなかった人が……目の前にやってきた

「しずく…どうし……」

新村くんの前にいると余計、自分が汚く感じて

どうしても、目を見ていられなくて


逃げた


「しずくっ!待てよ!」


もちろん、追いかけてくるわけで、私は無言でただ、必死に逃げた

けれど、バスケ部のスタメンである彼が、運動できない私に追いつかないわけもなく……

あっという間に、私の手首を掴んだ

「……はぁっ、しずくっ……どうして逃げんのっ……?!」

「……」

離して欲しくて

たまらなく……

「いやぁぁぁっ!!!」

あの日のことを思い出して……

「いやっ……いやっ……ひゅ……っ誰かっ…っ!だれっ……かぁ……______」


私は意識を失った……

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