[完]全力恋奏~音に乗せて~
次に私が目を覚ましたのは保健室
その時、目の前には、紅ちゃんと飯倉くんと、…新村くんがいた
「しずく……」
「……ごめ、ん……なさい」
視界がぼやけてしまう
男の人に触られると、ダメだということがわかった
あの日のことを思い出してしまう
たとえ、それが新村くんであったとしても……
「しずく……大丈夫だよ?謝らないで?ね?」
怖い……男の人が、怖くてしょうがない
見ているだけで、そこにいるだけで、手が……
「しずく……?大丈夫?……ちょっ、震えてるじゃん!」
「そのむ……」
飯倉くんが、私に手を伸ばそうとした時に気がついたのかもしれない
何に気がついたのかはわからないけれど、私に何があったのか……
飯倉くんは、新村くんに行くぞと言った
新村くんは、行かないと言ったけれど、飯倉くんが珍しく声を上げたので、出て行った
「……しずく、おさまった?」
静かに頷く
「…無理にとは言わない……けど、私には教えて欲しい。しずくに何があったのか…悲しみを苦しみを、分けて欲しい」
その紅ちゃんの言葉は、私を泣かせるには十分すぎた
……最近、涙腺が弱くなっちゃったなぁ……