[完]全力恋奏~音に乗せて~
看護師さんに連れられて、私は優生先輩の病室の前にいた
「緊張するよね」
「は、はい、」
「優しく生きるで優生くんなのよ?安心しなさい」
看護師さんは優生先輩がどんな人なのか、もうきっと分かってるんだ
だから、こうして励ましてくれている
コンコン_______________
「優生くーん、連れてきたわよー」
ガラッ______________
「ゆうき、せんぱ……」
優生先輩は、外を見ていた視線を、ゆっくりと私へ向けた
優生先輩と目が合ったとき、息が詰まりそうだった
ごめんなさい……
「看護師さん、ありがとうございます」
「いーえ、じゃあ」
……
「園村、久しぶり!」
優生先輩の優しい笑顔と、いつものあの笑顔に…声に涙が出そうになるのを必死にこらえた
「…ゆ、うき、せんぱ……」
「そんなに泣きそうな顔すんなって!」
「わ、たし……っ……わたしっ……」
「泣くなって……!」
思わず俯いてしまう
「あれは、俺が園村を守りたかっただけ。だからしたこと。だからお前が責任を感じることは何も無い」
「……っく……ひっく……」
人前では泣かないはずなのになぁ…最近涙もろいなぁ……
「本当はさ、今も泣いてる園村のこと慰めてやりたいんだよ…けど、園村…男が怖いんだろ?」
優生先輩がそのことを知っていたことに驚きを隠せなかった
顔を上げて、優生先輩の顔を見た
すると、その顔はとても、辛そうに歪んでいて…
何も言うことが出来なかった