[完]全力恋奏~音に乗せて~
「……」
「……」
きっと新村くんも、何から話したらいいのかわからないのかもしれない
きっと、私の傷に触れないように、って、気を遣っているのかもしれない
「にいむら…」「しず…」
話すタイミングが良いのか悪いのか重なる
お互い、ビックリして顔を見つめ合う
けれど……
「ふっ……はははっ!」「あはは!」
何だかおかしくなって、お互いに笑い合う
「何でこんなによそよそしいんだろうな」
確かに、そうだよね
だって、別に新村くんと何かあった訳では無い
それなのに、こんなにもよそよそしくなっている理由もないわけで……
「うん……それで……は、話って、どうしたの?」
首をかしげて尋ねると、新村くんは口を抑えて、私を見た
それがなんだか懐かしくって、思わず見とれていると、新村くんが私に呟いた
「また俺を死なせる気?」
って
「そ!そんなことっ……!」
死なせるなんて……!滅相もないです!
首を横にブンブン振った
あ、何だろう……さっきの新村くんの顔を思い出すと……
顔が熱く……
きっと顔は真っ赤だろう…と思っていたら、
熱でもあるの?なんて言って、少し離れていたけれど、顔をのぞき込むようにして見てきた
そんなことするからもう、心臓は苦しいくらいドキドキしっぱなしです!
ふっ、と思わず笑みがこぼれてしまう
なんだか、この感じ懐かしいなぁ……