[完]全力恋奏~音に乗せて~
「しずく、ありがとっ!」
ニコニコと私に笑顔を見せる紅ちゃん。とても可愛いです……
あ、もちろん、先生に確認しました!
そうしたら、たまにはいいだろ?って笑顔で答えてくれました!
ところで……
「紅ちゃん、どこに行くの?」
「んー…まだ内緒!」
行き先を知りません……
けれど、紅ちゃんについて歩いていると……この道って
「紅ちゃん、どうして病院に…?」
私が入院していた、そして今も優生先輩が入院している病院に着いていた
「いいからいいからっ!」
戸惑う私の手を、紅ちゃんが引っ張っていく
「失礼しまーす!」
優生先輩の病室の前まで来て、元気よく挨拶をして入る紅ちゃん
でも、私はドアの前で立ち止まってしまった
……だって……合わせる顔がないもの
私の為に犠牲になって、なのに、私はこうして学校へ行くことが出来て……
「しずく?…大丈夫だから」
半ば強引に引っ張られ、中へ入る
「……」
「園村っ!久しぶりだなっ」
「……は、はい」
「…顔上げてよ…顔見せろよ」
首を横に振る
「しずく……」
私を小声で呼ぶ紅ちゃん
「園村、男はまだ怖いか?」
どちらかと言えば、もう大丈夫だった
けれど、新村くん以外…飯倉くんは少しだけ……男の人を前にすると、足がすくむ
何も反応できない私に、そうか、と小さく頷いていた