[完]全力恋奏~音に乗せて~
私は、先輩の近くへ寄った
やっぱり、大丈夫だぁ……安心した
「あの時、守りきれなくてごめんな?」
「っ!何言ってるんですかっ……先輩は…最後の定期演奏会の全国大会へ出場出来なくなってしまって……私が謝らないといけません!」
「んなことない。…俺が中途半端に助けたから、お前は罪悪感と責任しか残らなくなった…」
「そ、そんな事ありませんっ…!中途半端なんかじゃないですっ…確かに、罪悪感でいっぱいです。けれど、あの時助けてもらえなかったら、今頃どうなっていたか……」
あの時確かに、最後まで守りきれたとは先輩からしたら言えない
けれど、先輩が逃げていたら、私は最後帰ってこられなかったかもしれない
こうして今、立ち直れていないかもしれない
「……先輩は、悪くありません……」
「園村…園村も、悪くないよな?園村こそ、悪くない…園村が俺を悪くないと言う気持ちと同じで、俺が園村に悪くないと言ってるんだ。……わかるよな?」
静かに、首を縦に頷いた。
そうだったんだ……優生先輩は、私と同じ思いで言ってくれていたんだ
「……悔しいよ。園村の心に傷を残す形になったこと。けど、あの時俺がいて良かったと思う。」
「……先輩」
「じゃなかったら、どうなってるか分かんないしな」
「本当に……ありがとうございます」
「園村…や、しずく?」
突然名前で呼ばれて、戸惑った
「は、はいっ!」
けれど、
「俺、しずくのこと困らせるよ?」
よく分からないけれど
「はい?」
なんだか、
「俺、しずくが好きだ」
心が痛い