[完]全力恋奏~音に乗せて~


「中1も同じクラスで、2人で笑いあってたの…けどね?それが壊れた時があった」

「壊れた時……?」

「そう。中1の夏休み明け。夏休みも普通に遊んだりして楽しく過ごした…けどさ、ほら。翔亮モテるじゃん?」

確かに…飯倉くんいつも女の子に呼ばれている気が……

「だから、翔亮のことを好きな子は私をよく思ってなかったみたいで。……8月の末からイジメが始まった」

「え……?」

元気で明るくて…可愛い紅ちゃんが……?

「体育の後にはさ、服がなかったり、……翔亮とも話さなくもなった」

「翔亮には気づいて欲しくなかった。なんでか分かんなかったけど、迷惑かけたくなかったんだ。……けどさ、気づいてたんだよね」

懐かしむように、笑った

「12月の中旬頃、学校行ったら黒板に書いてあったの。〝河田紅はビッチで校内中の男とヤってる〟って…うけるよね。でも、そんな嘘みんな信じた。そこに翔亮入ってきた。もちろん見てたよ、そしたらさ、『いい加減にしろよ!こんなことして恥ずかしくねぇのかよ!紅のことこんなこと言うやつ…コイツのこといじめてる奴なんか誰が好きになるかっつーんだよ!』って(笑)」


紅ちゃんの過去はあまりにも酷だった

だからかな……紅ちゃんがこんなに心優しいのは

過去があるからこそ、人に優しく出来るんだね

「ごめんね…何だか……」

「そんな顔しないで?もう過去だし、翔亮を好きになれるきっかけにもなったの、嬉しいんだから」

私の顔をむにってして、笑って2人でその日は寝た

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