恋愛迷子
Shino
好きだとか
愛しているとか
そんな言葉が欲しいわけじゃなくて
それを実感できる「何か」が欲しい。
ペアリングでも
写真でも
身体の関係でも
何でもいいから。
RRR…
「志乃、携帯鳴ってる」
ゴロンと隣にいる彼が振り返る。
終わりの時間だ、もう帰らなきゃいけない
自分の立場を嫌でも分かってしまう
「、、、やだ」
布団に潜り込む意味の無い抵抗
「やだじゃねぇよ、ほら、行くぞ」
「ん〜、今日はこれから会議?」
「ちげぇよ、俺も少し仕事してから帰るんだよ」
「え、今日は会議って言ってなかった?」
携帯の着信を確認する。
お母さんからだ。
夕飯がオムライスだ、というメール。
「今日は結婚記念日だからな」
ワイシャツを着ながら彼は背を向ける。
「奥さんの日に私とこんなところで、こんなことしちゃうなんてね」
クスクス笑う私の頭をくしゃっと掻き乱す彼。
ズルい
そんなことされたら
「遊びだ」と気づかされてしまう
高校生なんて相手にしてないって
暇つぶしだって
思ってるんでしょう?
「ねぇ、ここにキスマークつけてよ」
首筋を見せる
「はぁ、んなところにつけたらバレるじゃん」
「ね!バレないように絶対気をつけるから!」
はぁ、とため息をつきながら、
甘噛み
「、、んっ」
誰にも気づかれてはいけない
誰からも祝福されない
私はどうしたら良いんだろう
そのあとを鏡で確認してから、保健室を出る。
「また明日、理科の時間ね!先生!」