恋愛迷子
やっと一日が終わった
化学はもちろん、世界史もやり切った
もう疲れた
先生の顔見て帰ろう
そう思い職員室に向かう
途中で声をかけられた
「宮内」
振り返ろうとすると、一気に腕を引っ張られた。
「ん!」
抱きしめられている状態になっている
どこだここ
冷静になってみると
いつもの香水の匂いが。
「センセイ?」
態勢を整えて、先生の方を向く
「珍しいね、先生が『宮内』って呼ぶの」
「学校で『先生と生徒』なんだから、当たり前だろ」
学校じゃなくても『先生と生徒』だよ
と言いたかったがやめた
この関係が心地いいんだから
と自分に言い聞かせて
「てゆーか、どうしたの?
化学準備室に女子高生を連れ込む教師!
みたいな記事が書けそうだよ」
「いや、なんか今日の授業で志乃が元気なさそうに見えたから」
あーーー、
それで心配して、
ん?
心配して、こんなリスキーなことしてるの?
密室で男女が二人で、、、、
色々考えたけど、
先生に迷惑をかけないことを前提に私は先生を好きになっているから
本音は言えない
「なにかあったのか?志乃」
「、、、が」
「ん?」
ゆっくり話をきいてくれようとする先生
「ベンゼンが!解けないの!問題!意味わかんない!」
「は?」
あながち嘘ではない。
本当にわからない。
落ち込んでいた理由はそうじゃないけど、
先生に心配はかけたくない
『メンドクサイ女』になりたくない
はぁとため息をつきながら
「違うだろ、嘘はいけないな」
とぽつりと言い、
私の首に顔を近づける先生
「え!鍵閉めてる?」
「開いてても誰も入ってこねーよ」
「でもまだ完全下校時間じゃないし」
「いつもねだってくるくせに、今日はなんで謙虚なんだよ」
調子狂うな、と首元でいわれる
ゾクリとして
周りのことを考えていられなくなる
「ん!」
ヒヤっと首元に冷たい感覚
でもキスとは違う