一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「えっと……お見合い?」

疑問形で言ったお父さんに口をあんぐりさせてしまう。

お見合いってもしかしてもしかしなくても、私の……だよね?

「ちょっと待ってよ! お見合いってなに!? いきなり意味がわからないんだけど!!」


テーブルをバンッと叩き抗議をすると、お父さんは身体をのけ反らせた。けれどおずおずと身体を戻し、苦笑いしながらその理由を話し出した。

「いや、その……お前も知っているだろ? うちの部品の納品先を」

「当たり前でしょ? ミナミ自動車だってことくらい知っているから」


うちで製造している部品を100%納品している大取引様でもある、ミナミ自動車は、世界最大手の日本自動車メーカーだ。単一メーカーとしては日本最大で世界各地に拠点を有している。

「そのミナミグループの会長様からお達しがきてな」

「グループの会長って……創業家の?」

「あぁ」

ミナミグループとは、ミナミ自動車を筆頭に十五社からなる。

中でもミナミ自動車創業家である南家の存在は求心力であり、絶対的な存在。

いわゆるグループのトップでもある会長からのお達しって一体?
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