一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
#8『曖昧パニック!』
「……ミャー?」
「え――?」
どれくらいの時間、南さんの自宅の玄関先で立ち尽くしてしまっていたのだろうか。
我に返ったのは、いつの間にか仕事を終えたのか、廊下にあるうちのひとつのドアから出てきた南さんに、声を掛けられたときだった。
振り返ると、私の姿を確認した南さんは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ミャー、久し振り。来てくれてありがとう。……会えて嬉しい」
甘いセリフを言いながら駆け寄ってくると、南さんは私が手にしていた食材の入ったエコバックを持ってくれた。
「あっ……」
咄嗟に声を上げてしまうも、南さんは袋の中を見て嬉しそうに目を細める。
「あ、たまごがある。久し振りにミャーのだし巻きたまごが食べられるね」
無邪気な少年のように喜び爆発させたような顔をされてしまうと、彼を直視できなくなる。
やだな、さっきまであんなにグルグルと色々なことを考えてしまっていたというのに、南さんの笑顔ひとつで心を鷲掴みされてしまった。
笹本さんのことを考える余裕も失ってしまうほどに。
「え――?」
どれくらいの時間、南さんの自宅の玄関先で立ち尽くしてしまっていたのだろうか。
我に返ったのは、いつの間にか仕事を終えたのか、廊下にあるうちのひとつのドアから出てきた南さんに、声を掛けられたときだった。
振り返ると、私の姿を確認した南さんは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ミャー、久し振り。来てくれてありがとう。……会えて嬉しい」
甘いセリフを言いながら駆け寄ってくると、南さんは私が手にしていた食材の入ったエコバックを持ってくれた。
「あっ……」
咄嗟に声を上げてしまうも、南さんは袋の中を見て嬉しそうに目を細める。
「あ、たまごがある。久し振りにミャーのだし巻きたまごが食べられるね」
無邪気な少年のように喜び爆発させたような顔をされてしまうと、彼を直視できなくなる。
やだな、さっきまであんなにグルグルと色々なことを考えてしまっていたというのに、南さんの笑顔ひとつで心を鷲掴みされてしまった。
笹本さんのことを考える余裕も失ってしまうほどに。