一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
よくよく考えれば、笹本さんすごいよね。小さい頃からずっと好きなのに、気持ちを伝えることもせず、そばにいるなんて。


南さんのそばにいるために、今の仕事に就いたんでしょ?

私……そこまで南さんのことを想っている笹本さんに、勝つことなんてできるのかな?

まだまだ芽生えたばかりの気持ちで、私と南さんの関係は曖昧すぎる。


お見合いしたし、南さんは私を好きって言ってくれたし、プロポーズまでされちゃったけど……彼の気持ちは不確かなものに思えてしまう。


すぐに壊れてしまうような脆いガラスのような。そんな印象。


そもそも南さん、私より年上で見た目カッコよくてハイスペックだっていうのに、どうして今まで恋愛に興味がなかったのかな?


それに笹本さんっていう綺麗な幼なじみがいたのに、一度も恋愛感情を抱いたことがないなんて、本当なのだろうか……?


モヤモヤとまた考え込んでしまっていると、キッチンの方から珈琲豆を挽く音と、芳しい香りが漂ってきた。

ついキッチンの方を見てしまうと、南さんと視線がかち合った。
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