一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「最近、本当に忙しくて。……心身ともに疲れていたけど、ミャーに会えて、ミャーが作ってくれた美味しいご飯食べたおかげで元気出たよ。また明日から頑張ろうって思える」


「南さん……」

やだな、そんなこと言われちゃったら、嬉しくて頬が緩んじゃうじゃない。

けれど素直に感情を表に出すことが照れ臭くて、堪えるように唇を噛みしめた。


「お仕事、大変ですよね。……南さん、副社長ですし」

再びカップに視線を移し尋ねると、南さんはゆっくりと答えてくれた。


「うん、そうだね。大変な仕事ではあるかな? 僕にしかできないことも山ほどあるしね。……でもどんな仕事に就いても、大変じゃない仕事なんてないと思うよ。。ミャーの仕事だって大変でしょ?」


「そんなっ……! 私の仕事なんて大したことないですよ? それにうちは小さな会社ですし、休憩時間にお茶汲みして、みんなと談笑する余裕もありますし」


南さんの仕事とは、比べられないよ。

なのに彼はすぐに「そんなことない」と言うと、力強い声で話していった。
< 176 / 334 >

この作品をシェア

pagetop