一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
彼の生まれ育った環境を聞いて心が痛んだ。

笹本さんと会って彼女の気持ちを聞いて、ショックだった。

南さんの想いを聞いて涙が溢れてしまうほど嬉しかった。

抱いてしまった感情は、すべて彼のことが好きだからだ。好きだから色々な思いに悩まされたんだ。


「まだまだ芽生えたばかりの感情です。……でも私、この先もずっと南さんと一緒にいたら、もっと好きになっちゃうと思います」


「……っ本当、に？」

躊躇いがちに聞かれた質問に、私はすぐに「はい」と答えた。


南さんが好き。この先もっと好きになる自信がある。


素直な気持ちを伝え終えると、南さんは勢いよく振り返り、真正面から力いっぱい私の身体を抱きしめた。

苦しいのに嬉しくて愛しい。このまま離さないで欲しい。

感じた感情のまま私も彼の背中に両手を回した。

もっと密着した身体に幸せな気持ちで満たされていく。


「どうしよう、嬉しくて堪らないんだけど、どうしたらいいかな？」

「え？」

そう言うと南さんは私の身体を離し、見下ろしてきた。
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