一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「よく考えればすげぇよな、お前。なんていったって、相手はあのミナミグループの御曹司だぞ? 誰もが羨むシンデレラストーリーじゃん。みんなびっくりするだろうな。森さんや田山さんなんか特に、腰抜かしちまうんじゃねぇの?」


クククッと喉を鳴らして笑う海斗。


「もう、からかわないで。……それに今はまだ南さんと気持ちが通じ合えただけで充分。正直、結婚とかそこまですぐには考えられないし」

ボソッと本音を漏らすと、海斗は少し考え込んだ。


「それもそうか。俺たちまだ二十一歳だしな。同い年のやつらは亜優みたいに大学生なわけだし。……でも南さんは二十七歳だろ? 結婚を考えてもおかしくない年齢だから見合いしたんじゃねぇの?」


「それはそうだと思うけど……」


「だったら美弥も、もっと前向きになったら? それにある程度覚悟決めないと、あの人の嫁になるのは大変なんじゃねぇの?」


海斗の言葉にドキッとしてしまった。それは一昨日笹本さんにも言われたことだったから。

相手が南さんな以上、ある程度覚悟を持たないといけないんだよね、きっと。
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