一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
その間も彼はずーっと私を見つめたままだから。

お父さんたちがいたときと、ふたりっきりとでは違う。さすがにずっと見つめられたままではいられない。

珈琲の芳しい薫りが鼻を掠める中、思い切って自分から切り出した。

「あのっ……! なにかのドッキリですか!?」

「…………え」

最初からずっとニコニコしていた彼だけれど、途端に目をキョトンとさせた。

「でっ、ですから、さっきのその……プロポーズとか、ドッキリで言われたんですよね?」

疑いめいた目で見ると、彼は目を白黒させた後、慌てた様子で口を開いた。

「ちょっと待って、どうしてそうなるわけ? 第一ドッキリでいきなりプロポーズなんてするわけないだろ?」

いやいやいや! むしろドッキリだからこそ、初対面でいきなりプロポーズできちゃうんじゃないの?

「そうなりますよ! だって私たち、今日が初対面ですよね? なのにプロポーズされたら誰だって疑います!」

断言すると、彼は信じられないと言いたそうに目を瞬かせた。

「言っただろ? 写真を見てあなたしかいないと思ったって。どうして信じてくれないわけ?」
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