一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「それが信じられないからです! ……私、どこにでもいるような顔ですよ? 特にこれといった特技などもないですし……」

きっと彼の周りには、もっと素敵な女性がたくさんいるはず。


普段からそんな女性と接する機会も多いでしょ? なのにあの写真を見て気にいったとか言われたって、信じられるわけないじゃない。

真意を探るようにジッと見つめると、彼は真顔のままサラッととんでもないことを言い出した。

「なに言ってるんですか? あなたは僕が今まで出会った中で、最高に可愛い女性ですよ?」

「……え」


「世界中の誰よりも一番魅力的です。父から写真を受け取った日から今日まで、何度眺めてきたことか……」

次々と出てくる信じられない話に、目を瞬かせてしまう。

すると彼は少しだけ身を乗り出し、少しだけ首を傾げながら問いかけてきた。

「……信じてくれた?」

「……っ!」

首を傾げて聞いてくるとか反則だ。破壊力抜群で思いっきり後ろにのけ反ってしまった。
< 24 / 334 >

この作品をシェア

pagetop