一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

しんみりした空気が流れてしまい、それを壊すように笑って誤魔化した。

「ごめんね、海斗にこんな話しちゃって」

「バカ、俺にだからこそしろよ」

罵っているくせに海斗は苦しそうに顔を歪めた。


「それにお前と南さんはまだ出会って数ヵ月だろ？　たった数ヵ月間で絶対的な信頼関係を築くなんて無理な話だとは思わないか？」

諭すように言われ、これには頷いてしまう。海斗の言う通りだと思うから。


「本音を言えば美弥を信じなかった南さんとでは、美弥は幸せになれないんじゃないかって思っちまうけどさ。……でも大切なのは美弥の気持ちだろ？　俺がなんて言おうと美弥が南さんのことが好きで、これから先もずっと一緒にいたいって思うのなら、俺は応援するだけだよ」


そう言うと海斗は私の肩をポンと叩き立ち上がった。


「そのためにもまずは会って話したらどうだ？　俺はとにかく南さんには美弥に謝ってほしいし。美弥も俺に話したように自分の正直な気持ちをちゃんと伝えろよ。でないと、いつまで経っても信頼し合える関係は築けないぞ」

「……う、ん。そう……だよね」