一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「美弥……無事納品もできたし俺、週明けにはあのことみんなに話すからな」

“あのこと”とはつまり、鈴木さんたちの突然の退職の全貌。

思わずドキッとしてしまう。


「むしろみんな知っておくべきことだし、それに鈴木さんたちの気持ちを聞いた手前、みんなにそれを伝える義務が俺にはあると思うから」

「……わかったよ」


海斗の気持ちはわかる。私だって海斗から真相を聞けてよかったと思っているから。みんなにも真実を知っていてほしいと思うもの。


「それで? お前はまだ南さんと連絡取っていないわけ?」

「……うん。それに昨日から一度も連絡なくて。ずっと無視しちゃっていたから、いい加減愛想尽かされちゃったのかも」

「ハハッ」と笑ってしまったけれど、正直へこんでいる。


自分でもなんて自分勝手なんだろうって思う。連絡くれていたのに散々無視しておいて、こなくなったら落ち込むなんて。


私の心情を察したのか、海斗は「後悔しないようにな」とだけ言い、みんなの元へ戻っていった。

後悔しないように……か。

頭ではこのままではダメだって理解しているのに、心がついていけていない。
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