一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
思春期の頃は友達のサラサラストレート髪に憧れて、何度ストレートパーマをかけたことか……。

けれど強力なくせっ毛で、かけても数日で元通りになってしまい、いつしかサラサラストレート髪になることは諦めた。

ロングのフワフワ髪は仕事中シュシュでまとめている。

よくみんなに「トイプードルみたい」なんて言われて、からかわれたりしている。……絶対に似ていないはずなのに。

「美弥、手伝う」

「え、いいのに」

「いいから」

お茶菓子が乗ったお皿を、強引に奪っていったのは、うちの従業員であり私の幼なじみでもある田宮海斗(たみやかいと)。
同い年の二十一歳。

家が隣同士で、幼いころからよくうちの製作所に出入りしていたこともあって、すっかり部品作りの楽しさに目覚めてしまい、高校を卒業と同時に働き始めた。


けれど筋が良いようで、お父さんと同世代が多い我が製作所では期待のホープだ。

「美弥も少し休めよ、お前だって働いているんだからさ」

「うん、ありがとう」

自分だって疲れているくせに、人を気遣える。海斗は優しい。

おまけに身長百七十五センチもあって、けっこうイケメン部類に入るくらいカッコイイ。
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